せきゅーん杯予選での「ある1戦」
「ある1戦」は予選Aリーグのゆぅくりっど氏との対戦において起こった。
数譜*1も動画も残っていないので、記憶にある範囲で綴ってゆく。
第1勝負。いきなり大きな山が訪れる。私の初期手札は「A2579999TTX」という偏りが激しく、絵札も多くないので使いづらい手札だ。しかし、偏っているゆえに、あることに気がつく。
9910=2*5*991が出せるのだ。
8枚消費の3枚4桁(の強い方)の合成数出しなので、残りの3枚で弱い3枚出しを組めさえすれば、先手なら
弱い3桁素数⇒相手の4桁以内の素数⇒9910で不意打ちの上がり
という構想が可能だ。これを、合成数待ち伏せ戦法*2*3と呼ぼう。
せきゅーん杯に向けて合成数出しの表を作っているときに、「中くらい~やや強めの3枚出し合成数は8枚消費で出せるものが多い」ことを発見したのがきっかけで思いついた戦法だ。
もしかしたらこの戦法で勝てるかもしれないという状況だった。この日一番の緊張が走った...。
しかし、後手だったため、相手が3枚出ししてくるとは限らない。しかもどうしてもTが余ってしまうので、初手で出したい3桁の素数が作れない。
幸い、ゆぅくりっど氏は初手で443を出した。3枚出しだ。
そして私は合成数9910を残し、残った3枚で作れる一番小さい素数1097を出した。
―ここでゆぅくりっど氏が9910より小さい数を出せば私の勝ち、9910より大きい数を出せば勝てる確率は低くなる...
ゆぅくりっど氏が出した数は、12107だった。
わずかに越された...
結局この後は、流れを持ち直すことができずに1勝負目は敗北した。
後から振り返ってみると、9910を出した上で勝てる可能性が高い方法が他にあったので、そこが反省点になる。
「待ち伏せ」にこだわらず、「手番がとれなかったときの最善の残し手札」を組むことにもっと重点を置くべきだった。
実は、「A2579999TTX」の手札は、ジョーカーが存在するのがポイントで、どうやらこの使い方が明暗の分かれ目のようだ。合成数9910を確保した上で残った3枚で作れる最小の素数が上記の1097(T97)なのに対して、最大の素数は71011(7TX)になる。
71011はかなり強めな3枚5桁素数だが、1手目の時点で相手は絵札を1枚も使っていなかったので、手番を取れる可能性はあまり高くはないだろう。
よって、ここでの最善手は「71011を残し、先に9910を出す」となる。精巧な合成数出しなので、出せただけで周りは盛り上がる上に相手にプレッシャーを与えることもできる。
そして、その後に71011より小さい数で返してくれればそのまま勝つことができ、それより大きい数を出されたとしても、ジョーカーを含む絵札2枚を残しているため、次の手以降をより有利に進められる可能性が高くなる。
この1勝負目で、せっかくの合成数を出せずに負けた悔しさを味わった。
しかし、2勝負目で早くも挽回のチャンスが訪れる。
549=3^2*61
を出せる手札だったのだ。せっかく初期手札で組めた合成数を出さずに終わるのだけは避けたい...この一心だった。
そして2勝負目は先手。絵札はあまり多くなかったので、手番を持っているうちに1桁カードだけで作れる推しの合成数*4を出してしまおうと思い、初手で549を出した。
さらに、それに対してのゆぅくりっど氏の返しはなんと
961=31^2
だった。合成数3枚出しに合成数3枚出しで返すという、大会ではおそらくかつてない珍事に繋ぐことができた。
この点は非常に満足だ。
3勝負目までもつれ込み、最後の最後まで接戦だったが、非常に面白い試合をすることができた*5。
まだまだ実戦では出されにくい合成数出しだが、試合に緩急をつけられる点は非常に面白い上に、時に見えぬ威力を発揮することもある。