素数大富豪研究会&強化合宿を終えて

こんばんは。久しぶりの投稿です。

 

先日9月17日は素数大富豪研究会があり、そのあとにそのまま素数大富豪強化合宿も行いました。

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先に申し上げますが、とても素晴らしい研究会でした。

今までの素数大富豪関連のイベントは、基本的にただ「素数大富豪で遊ぶだけ」なのです。

しかし、素数大富豪研究会では、学会風なプログラム構成と大学の構内という雰囲気、そして素数大富豪で遊ぶのではなく、素数大富豪をテーマにした研究発表や議論を活発に行うこと自体がとても新鮮で、一参加者として存分に楽しむことができました。

運営の中心にあった二世さんやtsujimotterさん、そして招待講演をしてくださった関さんには感謝申し上げます。

 

以下、素数大富豪研究会(と強化合宿)のなかから特にこのブログで言及しておきたい点をピックアップします。

 

総合討議を中心とした論点の整理

プログラムの最後で、「素数大富豪の未来と可能性」についての総合討議がありました。

そこでの内容や、研究会全体を通しての論点から記憶のある範囲で整理しておきます。

 

☆一般向け/子供向けへの発信の必要性

今までの素数大富豪は、どちらかというと「数学好きの間で流行っている」状態が近かったのですが、最近になって数学好きを超えてプレイヤー層が広がりつつあるのも事実です。

しかし数学に親しみのない人に素数大富豪を教える際、「ドン引きされてしまう」という経験のある方も多いと思います。多くの人は「素数」や「計算」になじみがありません。

本当は楽しめるはずなのにミスマッチを起こしてしまうことを防ぐために、「はじめて遊ぶ人」がいる際には工夫が必要になってくる場合があります。

工夫の一例として、二世さんがポスター発表で「初めて遊ぶ人向けのアンケート」を提案されていました。

 

☆海外へ向けた発信

素数大富豪は今のところ日本国内でのみ(おそらく?)遊ばれています。

プレイヤー層の拡大の一環として、海外へ発信しようという動きがあります。というか、既に動き始めています笑

素数大富豪ルールの英語版が、遠くないうちにできる予定です。

 

☆プレイヤー層が拡大すると・・・?

素数大富豪がもっとメジャーなトランプゲームになるとどうなるでしょうか。

想像すると結構面白い世界が見えてきます。

・eスポーツの公式競技化

素数をいくらでも記憶できる「ギフテッド」の誕生(「人間の能力の拡張」にも関連)

・プロ組織の結成

・修学旅行での定番の遊びが「素数大富豪」

・家族団らんで素数大富豪

・「21世紀以降の日本人はなぜか皆やたらに大きい素数を記憶している」という海外での伝説

 

☆人間の能力の拡張

素数大富豪では、日常生活で使うことのないほど大きな素数を多数扱うため、素数大富豪があることにより、能力の一部が拡張されたという言い方をすることができると考えます。

車のナンバー等を見て、素数か否かが一瞬にしてわかるというのは、数字大好きの私でさえも素数大富豪がなかったらありえないことでした。

 

他にも多数の話題や論点がありました。

 

もりしー個人の発表について

私は口頭発表にて「素数大富豪の初期絵札分析」というタイトルで発表しました。

この研究では、初期手札、特に2桁カードである「10、J、Q、K、ジョーカー(以降、便宜的に「絵札」と呼ぶ)」の枚数と勝敗の相関について分析しました。

 

データ:もりしーvsCPUの対戦の500戦

集計方法:初期手札の絵札枚数(3枚~5枚の場合については絵札内容についてさらにA~Cの3段階に分類*1)を記入し、多い(良い)方が勝ったか少ない(悪い)方が勝ったかを記録する

 

この集計により、絵札枚数が多い、あるいは絵札種類が良い方の勝率が72%となり、絵札が多い方が圧倒的に有利という結果になりました。

これは、同じ試合においての先手勝率(69%)よりも高く、手札の良し悪しは、先手後手以上に勝敗を左右するといえるということになります。

 

一見、早急に対策が必要な感じがするのですが、これはトランプゲームとして難しいところでして、「ランダムに配った手札の引きの強さ」も試合の本質の一つであり、面白さでもあるという点から、試合の本質とあまり関係のないと思われる、先手後手*2ほど問題視する必要があるかというと現時点では疑問です。*3

この研究もサンプル対象の少なさや評価の恣意性などの課題もあるため、今後、一層研究を深め、検討していきたい課題となりました。

 

以下が発表スライドと分析に用いた表になりますので、興味のある方は是非ご覧ください。

 

 

【発表スライド】

素数大富豪の初期手札分析-スライド.pptx - Google ドライブ

 

【分析に使った表】

初期手札分析.xlsx - Google ドライブ

 

 

素数大富豪強化合宿について

研究会のあとに行った強化合宿ですが、これは研究会とセットのイベントではなく、完全に別企画での開催だったのですが、結果として研究会参加の約半数が強化合宿まで残るということになり、研究会と切っても切り離せない思い出となりました。

 

研究会で話題になった数譜の取り方解説に始まり、最終的には突如「素数大富豪飲酒杯(非公式大会)」が行われるほどでした。

雰囲気はこんな感じです↓

合宿の中での大会はさすがに長すぎたという反省もありましたが、終始盛り上がりが絶えず、楽しく過ごすことができました。

 

来ていただいた皆様ありがとうございました。改めて御礼申し上げます。

 

 

以上、長文になりましたが、素数大富豪研究会と強化合宿を終えた整理&感想でした。

*1:この点は評価基準が曖昧で相対的、主観的な面もあるので、妥当性は高くはありません。

*2:大会などでは、早急に先手有利への対策が必要である

*3:「絵札枚数が多いと有利」問題の対策案としては、

・初期絵札枚数をあらかじめ定める

・1桁カードのみで対戦する

などを今のところご提案いただいています。