この記事は、素数大富豪 Advent Calendar 2017 - Adventar 24日目の記事です。
昨日は、せきゅーんさんによる松本旅行記 - INTEGERSでした。
クリスマスイブですが、ちょっと先取りしてお正月気分を。
『春の海』という曲をご存知でしょうか。
大正~昭和時代にかけて活躍した有名な箏曲家、宮城道雄作曲のお箏と尺八による器楽曲です。
今やお正月の定番曲となっているので、耳にしたことのある人も多いでしょう。
この動画の0:09~0:12の部分が、なんと「素数大富豪素数」になるのです!
9月19日の素数大富豪in札幌で、今日出したい素数として出したらなかなか受けが良かったので*1、ここで解説させていただきます。
そもそも、なぜお箏の曲から素数大富豪素数なんてものが出るのかというと、「お箏」と「トランプ」には共通点があるからなのです。
一般的なお箏には、13本の糸(和楽器では、弦のことを糸と呼びます)が張られています(写真)*2。
お箏の糸は、それぞれにに名前が付いていて、演奏者から見て奥から順に、
一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、斗(と)、為(い)、巾(きん)
と呼びます。
これらはちょうど、トランプ13種類の数字(A~K)に当てはめることができますね。
また、お箏の一般的な記譜法は縦書きのタブ譜の形式をとっており、譜面には糸の名前が直接書き込まれます。
その譜面を数字に変換していくと、一部のフレーズから素数が出現することがあるのです。
もちろん、箏曲以外の音楽でも、ドレミファソラシドに数字を振るなどの手法で曲から素数を見つけることは可能です。
しかしお箏は糸が13本あるという楽器の特性と、糸の名前をそのまま譜面に起こすという記譜法の特性の双方により、曲から素数を見つけられるだけでなく、「しばしば2桁カードが出現する素数大富豪素数を明快に表現する」という性質を持っているのです。
ここで、先ほどのフレーズを記譜すると、
三六七八十斗為巾
となり、これを数字に直すと
367810111213
美しいですね。
今から、367810111213を、「春の海素数」と呼びましょう。
宮城道雄は、箏曲の作曲に西洋音楽的な手法を取り入れました。『春の海』は、ソナタ形式風の三部形式で構成されており、日本音楽の音色を、西洋音楽の進行に沿って配置した形の楽曲です*3。
図 『春の海』の楽曲構成
「春の海素数」のフレーズはA(0:03~)とA’(5:13~)の中でも楽曲の中心部分にあたる「主題」に3回ずつ登場する上に、最後も三六七八十斗為巾のアルペジオ*4で曲が締めくくられます(7:46)。
『春の海』という曲をもっとも象徴するフレーズが素数だなんて、素敵ですよね!!
また、曲中には他にもいくつかの素数が登場します。
12111097(為斗十九七)・・・1:35など。AやA’の後半部分で登場します。
61110111311(六斗十斗巾斗)・・・2:05など。Bの頭がいきなり素数です!かなりインパクトのあるフレーズ。
※和音が含まれる場合は、基本的に一番高い音をメロディとして採っています。
81312111011(八巾為斗十斗)・・・3:30など。こちらもBの主要フレーズのひとつになります。
裏を返せば、素数大富豪素数のみを使って箏曲を作ることもできるかもしれません。
その辺りは今後の研究課題にしたいと考えております*5。
よいクリスマスを!
明日はとうとうアドベントカレンダー最終日ですね。二世さんによるまとめです。